もちろんアルコールには、酩酊する――いわゆる酔っぱらうことを代表として、摂取した直後から様々な影響を人体に与えます。ここでは、アルコール摂取による酩酊以外の「短期的な影響」について、簡単にまとめてみたいと思います。
血管が拡張する
アルコールには血管拡張作用があります。お酒を飲んで顔が赤くなる人が多いのは、血管が広がっている証拠です。血管が拡張すると当然、血流も良くなり、心拍数が増加します。アルコールにあまり強くない人の中には、お酒を飲むと心臓がバクバクするという方もいるようですが、これは心拍数の増加が主な原因といえるでしょう。
利尿作用がある(脱水症状に陥りやすい)
これも代表的なアルコールの影響です。ここでいう利尿作用には、発汗促進も含まれます。人によって程度は大きく異なりますが、アルコールを飲めば飲むほど「喉が渇く」ということになり、それがまたアルコール飲料の摂取を促進するという結果になることもあります。もちろん、アルコールの有無を問わず飲料の摂取をやめれば、体から水分が出て行く一方ですから、脱水症状に陥りやすいともいえます。派手に飲んだ翌朝、猛烈に喉が渇くという経験は誰にでもあるのではないでしょうか。
この間、体の内部で起こっていることに目を向けてみると、血液の粘性が高まることから、血液の循環が徐々に悪くなっていきます。飲みすぎた翌朝の異常に喉が渇いているという状態は、実は体に大きな負担がかかっていることの表れなのです。
アルコール分解のため、肝臓が働く
アルコールの摂りすぎが肝機能の低下を促すということは非常に有名ですが、これはアルコールの分解が肝臓で行われるからです。人体に吸収されたアルコールは、肝臓でまずアセトアルデヒドという物質に分解されます。このアセトアルデヒドは、完全な「毒」であるため、肝臓はさらに必死になってアセトアルデヒドを無毒な酢酸に分解しようとします。
いわば2段階にわたってアルコールは分解されるわけですが、もし分解しきれない場合は、あのツライ二日酔いに悩まされることになります。分解しきれないということは、肝臓の処理能力のキャパを超えているというわけで、この2段階の分解作業は、肝臓にとっても相当な大仕事であることがわかるでしょう。